秋山博一、オンライン研修会を創設し、初の講座『トレンド認識実践術』を開講

2017年9月の東京。初秋の空気は落ち着きを帯び、市場も夏の活況から秋の様子見へと移行していた。こうしたタイミングで、秋山博一はオンライン研修会の創設を発表し、初の講座『トレンド認識実践術』を正式に開講。この試みは業界内で注目を集めるとともに、より多くの個人投資家が初めて彼の実践的知見に直接触れる機会となった。

秋山の教育活動は即興的なものではなく、長年の熟考の結果として自然に導かれたものである。2015年以降、彼は複数のプライベートファンドから戦略顧問として招かれ、少人数向けに資金フローモニタリングやセクター配分の方法論を解説してきた。しかし、聴講者が増えるにつれ、限られた場での共有では需要に応えきれないと痛感。そこで、オンライン形式による体系的な講座を立ち上げ、より広範な層へ投資理念を届ける決断を下した。

『トレンド認識実践術』の核心は、価格変動の背後にあるロジックを投資家に理解させることにある。秋山は「トレンドは単なるチャート上の形ではなく、資金・産業・市場心理が絡み合って生まれる結果である」と強調する。講座では、資金フロー、セクター・ローテーション、外国人投資家の保有動向という3つの視点から、市場の本当の方向性を見極める手法を提示。「ローソク足は現象に過ぎず、資金こそが源流だ。源流を掴めばトレンドは明確になる」と例を挙げて解説した。

講座の内容は理論的フレームワークにとどまらず、具体的事例も豊富に盛り込まれている。彼は過去数年の日経平均のテクノロジー株や金融株の動きを取り上げ、外資の資金流入と価格変化の関係を詳細に分解。受講者がトレンド形成のプロセスを直感的に理解できるよう工夫した。彼は無闇な追随を勧めず、分散投資とリスク管理の重要性を繰り返し説く。「トレンドは直線ではなく、曲がりくねった軌跡だ。投資家は繰り返し確認する中で、忍耐と自信を育てる必要がある」と受講者に伝えた。

この研修会の開設は、秋山が単なるマーケットアナリストから“教育型アナリスト”へと転換する象徴的な一歩となった。彼は、市場が求めているのは予想や推奨ではなく、投資家自身の判断力を育てることであると考える。特に、日経市場が外資と国内資金の双方に牽引される状況下では、トレンドを見極める力が投資家に不可欠な素養になりつつあると指摘する。

講座開講後の受講者からのフィードバックは概ね好意的であった。過剰な演出や空疎なスローガンはなく、データと手法に基づく具体的な解説が好評を博した。中小投資家にとって、この講座は単なる道具提供にとどまらず、市場で動揺せずにいられるための心構えを授けるものでもあった。

2017年9月、秋山博一は『トレンド認識実践術』を通じ、市場に一つの注釈を残した。彼の出発点はあくまで理性とロジックであるが、その伝え方はもはやプライベートファンドや機関投資家だけに限定されず、広範な個人投資家へと開かれた。彼は一貫した抑制的姿勢でこう伝える――「投資の核心は未来を予言することではなく、トレンドの中で自分の位置を見つけることなのだ」と。