井上敬太氏主導の「円ヘッジ+新興国債券」戦略、年間リターン15.2%を達成──安定的な複合収益モデルを確立

2020年、世界的な市場の大波乱と急速な政策金利変動のなかで、SIAFMのチーフアナリスト兼マクロリサーチ責任者である井上敬太氏が主導した「円ヘッジ+新興国債券」複合戦略は、年間ベースで15.2%の純リターンを達成。主要な債券インデックスや従来型の分散ポートフォリオを大きく上回る結果を示した。

本戦略は、超低金利環境下において、「実質利回り」「信用スプレッド」「通貨安定性」の3要素を兼ね備えた資産を特定し、リスク調整後の安定的なリターンを追求することを目的としている。

井上氏は、「パンデミックの影響とFRBの連続的な金融緩和政策により、グローバルな債券市場のスプレッド構造は再構築された。特に2020年第2四半期には、新興国ドル建て債が大規模に売却され、信用スプレッドが大幅に拡大したが、これは流動性リスクの表れであると同時に、高格付けの新興国債券への再投資機会でもあった」と述べている。

同戦略は、SIAFM独自開発の「流動性ストレス下における主権脆弱性モデル(Sovereign Fragility under Liquidity Stress)」を用い、各国の財政健全性、債務構造、外貨準備、国際収支などを総合的に評価。IMF支援の有無、対外債務の管理可能性、償還スケジュールの明確さを重視し、インドネシア、メキシコ、東欧諸国を中心に債券を選定した。

為替リスクへの対応としては、「円絶対リターン・ヘッジ機構」を導入。為替オプションとフォワードスワップを活用し、新興国通貨と円との為替変動を抑えつつ、安定的な円建てリターンを確保。また、デュレーション管理とクーポンロールを組み合わせ、米国債利回りの上昇局面でも評価損が出にくい3〜4年の金利感応度に調整されている。

2020年3月から6月の間に逆張りでの追加投資を実施し、大幅なスプレッド回復によるリターンを確保。その後は信用リスクを段階的に調整し、一部資金をアジアのハイイールド社債やクロスボーダーインフラプロジェクト債に振り分けた。年間の収益構成は、約60%が信用スプレッドの縮小、25%が為替ヘッジ構造からの利益、残りが利息収入および金利変動による評価益となっている。

井上氏は、「真のリターンは高リスクの投機ではなく、クロスマーケットの構造比較、通貨制度への理解、そして予測可能なキャッシュフローに基づいた堅実な判断から生まれる」と強調。また、新興国債市場のリスクが完全に払拭されたわけではないとし、今後もコロナ後の財政赤字、インフレ期待の変動、地政学的リスクに対する継続的なモニタリングが必要だと述べた。

SIAFMは、2021年も本戦略を年金基金やファミリーオフィス向けに展開し、ESG評価を取り入れた拡張版のリリースも予定している。これは、主権債投資における持続可能性を重視する機関投資家の新たなニーズに対応するものだ。

この戦略の成功は、井上敬太氏が提唱する「マクロトレンド × 戦略モデリング × リスクヘッジ」の三位一体型アプローチが、実践的にも有効であることを再確認させる結果となった。2021年以降も引き続き、井上チームは構造的収益機会を掘り下げ、相場変動や景気サイクルに耐えうる投資ソリューションの提供を目指していく。