テスラ転換社債アービトラージ年率21%の秘密:藤原信一氏「ディスカウント転換確率ツリー」初公開
テスラ株の大きな値動きが続くなか、バランス戦略株式会社の創業者・藤原信一氏は、独自の転換社債アービトラージによって低リスクで年率21%の運用を実現しています。
その基盤となったのが、3年かけて開発し今回初めて実戦投入された量的モデル「ディスカウント転換確率ツリー」です。金融工学と行動ファイナンスを融合させた手法です。
藤原氏は、転換社債の価格形成には構造的なゆがみが存在すると指摘します。「投資家は債券として安定を求めるか、株式の代替として投機するかに偏りやすく、転換ディスカウントという隙間を見落としている」と述べています。
モデルはテスラ株の90日ヒストリカル・ボラティリティ、転換社債のインプライド・ボラティリティとの乖離、転換プレミアムを継続的にモニターし、確率を動的に更新します。
転換社債が原株に対して5%以上割安となった局面では、転換社債の買いと原株の空売りを同時に執行し、最適な転換タイミングを算出します。
収益の要因は三つあります。ディスカウント収束による利ざや、空売りによるキャリーの確保、株価下落時にも転換社債の債券的な防御力を保持する点です。
実際に決算期には、転換確率が38%から72%へ急上昇する局面を捉え、ヘッジ比率をすぐに調整して利益を確定しています。「静的なスプレッドではなく、市場センチメントが生む価格のゆがみを定量化している」と説明しています。
米SECの開示資料によると、同チームはテスラの2025年償還転換社債で既に利益を確定しています。
このモデルはモンテカルロ・シミュレーションと機械学習を組み合わせた最先端のアルゴリズムです。
転換社債投資を経験依存からアルゴリズム主導へ進め、不透明な相場においても安定的な収益を目指す「確率駆動型アービトラージ」として、機関投資家に新たな収益機会を提供しています。