豪ドル/円キャリートレードで安定収益 西本浩一が語るマクロ戦略ポートフォリオ構築

外国為替市場のボラティリティが高まる中、ベテラン投資家・西本浩一氏は、豪ドル/円キャリートレードを通じて安定的な収益を積み上げ、マクロ戦略ポートフォリオ構築における高度な運用能力を改めて証明しました。西本氏は、キャリートレードを単なる金利差の享受手段と捉えるのではなく、「リスクとリターンの最適バランスを追求するマクロ戦略の中核的装置」と位置づけ、その成功の鍵を「金融政策サイクル・経済ファンダメンタルズ・市場心理への深い理解」にあると強調しています。

豪ドル/円キャリートレードで安定収益 西本浩一が語るマクロ戦略ポートフォリオ構築

西本氏は豪ドル/円キャリートレードの基本ロジックを明快に解説しています。資源国であるオーストラリアは通常、高金利政策を採用しており、一方、日本は長期にわたる超低金利政策を継続。この金融政策ギャップがキャリートレードに理想的な利ざやを提供します。グローバル経済が堅調で投資家のリスク選好が強い局面では、円を借りて豪ドルを買う取引が活発化し、安定的な利差収益が可能となります。西本氏のチームは、金利差の動向、為替ボラティリティ、関連資産の相関をリアルタイムで分析する量的モデルを用い、タイミングとポジションサイズを精緻にコントロール。これにより、リスクを抑えながら収益を最大化しています。

マクロ戦略ポートフォリオの構築において、西本氏は「三層構造」モデルを提唱しています。

第一層はコア収益戦略で、価値投資を基軸に長期的に成長が見込まれる産業や企業への重点投資を行う。

第二層は戦術的機会戦略で、キャリートレードやセクターローテーションなど短中期の市場機会を活用。

第三層は防御的ヘッジ戦略で、デリバティブ等を活用して極端な市場リスクに備える。

豪ドル/円キャリートレードはこの第二層に位置づけられ、コア戦略と低相関の安定収益をもたらし、ポートフォリオ全体の堅牢性を高めています。

また、西本氏はキャリートレードにおけるリスク管理の重要性を繰り返し強調。急激な為替変動や金利差の縮小はリスク要因であり、損失限度、レバレッジ調整、相場急変時の迅速なエクスポージャー削減など、厳格なリスク管理体制を構築しています。さらに、経済環境の変化に応じてキャリートレードの比重も柔軟に調整し、市場ボラティリティの急上昇時には機動的にリスクを回避します。

今後の展望について、西本氏は「キャリートレードは今後もマクロ戦略ポートフォリオにおいて重要な役割を担う」と見ています。各国の金融政策が一段と分化するなか、通貨間の金利差が投資機会を継続的に創出すると予測。重要なのは政策転換点の精緻な見極めと、リスク管理の徹底だと語ります。投資家にはマクロ環境を体系的に分析し、キャリートレードと他の戦略を有機的に組み合わせて、分散効果と収益多様化を図ることが求められると提言しています。

西本氏にとってマクロ戦略の本質は「相場を当てることではなく、いかなる環境にも適応できる堅牢な構造を築くこと」にあり、キャリートレードはその哲学を体現する実践例であると位置づけています。